探偵業者の権限と行政処分

先日、(一社)日本調査業協会が開催した「第19回探偵トラブル110番無料相談」での沖縄支部当方受付へ「ある探偵業者から、当社は沖縄県公安委員会に探偵業の許可を得ているので堂々と尾行や張り込みが出来る。GPSも問題なく使用できるので安心です。」と説明されたが本当でしょうか?と、お客様から問い合わせがありました。探偵業者は、依頼人から委任を受けて現地へ赴き、依頼人に代わって見聞きするだけの業務です。探偵業の業務の適正化に関する法律は、許可ではなく届出だけの制度ですから探偵業者に特別な権限など全くありません。

昨年、強引な尾行を繰り返した東京の探偵業者が指示処分(探偵業の業務の適正化に関する法律第14条)を以下のような根拠で受けました。
処分理由・根拠法令:探偵業務の実施の原則(探偵業法第6条)
「探偵業者及び探偵業者の業務に従事する者は、探偵業務を行うに当たっては、他の法令で禁止・制限されている行為を行うことができることとなるものではなく、また、人の生活の平穏を害する等個人の権利利益を侵害することがないようにしなければならないところ、調査対象者に対し、追尾して執拗につきまとい、もって、他人に不安若しくは迷惑を覚えさせる仕方でつきまとったものであり、このまま放置すれば、探偵業の業務の適正な運営が著しく害されるおそれがある。」と公表されています。

探偵業者に対する都道府県公安委員会による行政処分には「指示」「営業停止命令」「営業廃止命令」があります。しかし、探偵業者には「探偵業者だから出来る」という権限など全くないのです。